前橋地方裁判所 昭和５２年（わ）２３８号 判決
本店所在地
群馬県太田市別所三三二番地
関東建設工業株式会社
右代表者
高橋君明
本籍
同県佐波郡境町大字東新井三五〇番地
住居
同県太田市別所三三二番地
会社役員
高橋君明
昭和一六年一月一三日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官佐藤勝出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人関東建設工業株式会社を罰金一、五〇〇万円に、被告人高橋君明を懲役一〇月に処する。
被告人高橋君明に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人らの連帯負担とする。
理由
（罪となるべき事実）
被告人関東建設工業株式会社は、群馬県太田市大字別所三三二番地に本店を置き、土木建築に関する工事の設計及び施工等を営業目的とするもの、被告人高橋君明は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人高橋は被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、
第一 昭和四八年四月一日から同四九年三月三一日までの事業年度において、所得金額が二〇、七七六、八一六円で、これに対する法人税額が七、三七二、六〇〇円であるにもかかわらず、売上の一部を除外し仕掛工事高を圧縮するなどして所得の一部を秘匿したうえ、同四九年五月三一日、同県館林市仲町一一番一二号所在の館林税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三一三、〇九五円でこれに対する法人税額は八七、六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税七、二八五、〇〇〇円を免れ（別表１、４）
第二 昭和四九年四月一日から同五〇年三月三一日までの事業年度において、所得金額が一六五、〇六五、四一六円で、これに対する法人税額が六五、〇七〇、三〇〇円であるのにかかわらず、前同様の方法のほか架空経費を計上して簿外預金を設定するなど不正の方法により所得の一部を秘匿したうえ、同五〇年五月三一日、前記館林税務署において、同税務署長に対し、所得金額が九一、二一一、七一二円でこれに対する法人税額は三五、五三二、二〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税二九、五三八、一〇〇円を免れ（別表２、４）
第三 昭和五〇年四月一日から同五一年三月三一日までの事業年度において、所得金額が九七、八四五、四九一円でこれに対する法人税額が三八、一〇三、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様の方法により所得の一部を秘匿したうえ、同五一年五月三一日、前記館林税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三七、四八〇、三八七円でこれに対する法人税額は一四、一五二、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税二三、九五一、七〇〇円を免れ（別表３、４）
たものである。
（証拠の標目）
判示全般につき
一 被告人高橋の当公判廷における供述
一 被告人高橋の検察官に対する供述調書
一 大蔵事務官の被告人高橋に対する昭和五一年一〇月一二日付、同月一三日付、同月一五日付、同月一六日付、昭和五二年一月一九日付、同月二二日付、二月四日付、同月八日付（第二回）、同月九日付（第二回）、同月一〇日付、同月二四日付（第一回）
各質問てん末書
一 登記官作成の商業登記簿謄本
一 高橋絹代、高畠昇の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官の高橋絹代（四通－同人作成の答申書を含む）、高畠昇、長浜介司に対する質問てん末書
一 群馬銀行太田支店長比留田順一、大陽神戸銀行太田支店長岩原昭、同銀行伊勢崎支店長平島肇、栃木相互銀行太田支店長安田豊治作成の各答申書
一 大生相互銀行太田支店長吉田次夫（三通）、同支店営業課長大島松己、栃木相互銀行太田支店長安田豊治、伊勢崎信用金庫本店営業部長並木正夫、同金庫東支店長細井多泉、太田信用金庫本店営業部長松月稔作成の各証明書
一 長野郵便局長作成の回答書二通
一 関東信越国税局大蔵事務官作成の次の調査関係書類と調査書
（一）(1) 大生相互銀行太田支店調査関係書類（会社）（個人）各一通
(2) 群馬銀行太田支店調査関係書類
(3) 太陽神戸銀行太田支店、同伊勢崎支店調査関係書類各一通
(4) 栃木相互銀行太田支店調査関係書類
(5) 伊勢崎信用金庫本店営業部、同金庫東支店関係書類各一通
(6) 太田信用金庫本店営業部調査関係書類
（二）(1) 売上除外等検討調査書
(2) 簿外完成工事高調査書
(3) 各期別仕掛工事除外等調査書
(4) 各月別預金利息調査書
(5) 簿外預金及び受取利息調査書
(6) 定期預金等設定（月次分）
(7) 郵便貯金調査書
(8) 個人名義普通預金等入出金検討調査書
(9) 個人収支（個人余剰金）調査書
一 押収してある銀行対借関係ノート一冊（昭和五二年押第六一号の一）
判示第二、第三の事実につき
一 被告人高橋作成の答申書
一 大蔵事務官の被告人高橋に対する昭和五一年一〇月一四日付、同月二一日付、昭和五二年一月一四日付質問てん末書
一 根本政男（二通）、小池一雄、町田丞、岡部より子、神田友司、田村秀夫、坂本美乃、内藤文子、山下君子、渋沢稔夫、小林明、中里忠雄の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官の内藤文子、渋沢稔夫、小林明、中里忠雄に対する各質問てん末書
一 根本政男（二通）、小池一雄、町田小夜子、野口紀一、岡部より子、神田友司、遠藤隆志、田村秀夫、児島敏江、吉沢治雄、橋本ツネ、五十嵐幸三郎、坂本美乃（二通）、八代健治、内藤文子、渋沢稔夫、島田ソウ作成の各答申書
一 関東信越国税局大蔵事務官作成の
(1) 売上洩等検討調査書
(2) 架空外注費等調査書
一 館林税務署長作成の昭和五二年四月六日付証明書に添付された青色申告書提出の取消決議書
一 押収してある会計伝票綴一綴（同押号の二）、仕入メモ一冊（同号の三）、決算調整メモ一綴（同号の四）
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官の被告人に対する昭和五二年二月一日付、同月二日付質問てん末書
一 大蔵事務官作成の昭和四九年三月期脱税額計算書、修正損益計算書、調査所得（調査による増減金額）の説明書
一 館林税務署長作成の昭和五二年二月四日付証明書に添付された昭和四九年三月期確定申告書
判示第二の事実につき
一 関東信越国税局大蔵事務官作成の50/3期末払費用内訳調査書
一 大蔵事務官作成の昭和五〇年三月期脱税額計算書、修正損益計算書、調査所得（調査による増減金額）の説明書
一 館林税務署長作成の昭和五二年二月四日付証明書に添付された昭和五〇年三月期確定申告書
一 押収してある申告調整メモ一綴（同押号の五）
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官の被告人高橋に対する昭和五二年二月七日付、同月八日付、（第一回）、同月九日付（第一回）各質問てん末書
一 鈴木進の検察官に対する供述調書
一 大蔵事務官の鈴木進に対する質問てん末書二通
一 関東信越国税局大蔵事務官作成の工事原価（原価率）調査書
一 大蔵事務官作成の昭和五一年三月期脱税額計算書、修正損益計算書、調査所得（調査による増減金額）の説明書
一 館林税務署長作成の昭和五二年二月四日付証明書に添付された昭和五一年三月期確定申告書
一 押収してある決算調整メモ（前掲）
（法令の適用）
被告人高橋の判示各所為はいずれも法人税法第一五九条第一項に該当するところ、被告人会社に対しては同法第一六四条第一項により同法第一五九条第一項の罰金刑を科することとし、以上はそれぞれ刑法第四五条前段の併合罪なので、被告人会社については同法第四八条第二項により各罰金額を合算し、被告人高橋については所定刑中いずれも懲役刑を選択のうえ、同法第四七条本文、第一〇条により最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、その金額、刑期の範囲内で被告人会社を罰金一、五〇〇万円に、被告人高橋を懲役一〇月に処し、被告人高橋に対し、情状により同法第二五条第一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、訴訟費用は刑事訴訟法第一八一条第一項、第一八二条を適用して被告人らに連帯負担させることとする。
よつて主文のとおり判決する。
（裁判官 尾崎俊信）
別表１
修正損益計算書
No.1
自 昭和48年4月1日
至 昭和49年3月31日
関東建設工業株式会社
No.2
別表２
修正損益計算書
No.1
自 昭和49年4月1日
至 昭和50年3月31日
関東建設工業株式会社
No.3
別表３
修正損益計算書
No.1
自 昭和50年4月1日
至 昭和51年3月31日
関東建設工業株式会社
No.2
No.3
別表４
法人税額計算書
No.1
関東建設工業株式会社
No.2